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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

退職時誓約書へのサインは拒否できるか



退職時に、退職するスタッフに「退職時誓約書」などという書面にサインしてもらうことがあります。


誓約書の内容は、サロン等やクリニック(以下「サロン等等」といいます)。の要望に合わせて作りますが、以下のような内容を盛り込むことが多いです。

サロン等の秘密情報を返還済であることの確認

・退職後一定期間サロン等と同じ市内等でサロン等を経営しないことの確認

・サロン等の顧客を今後の自分の勤務する別のサロン等に勧誘しないことの約束

・サロン等の従業員を引き抜かないことの約束

・SNSにサロン等の悪口等を投稿しないことの約束


この誓約書へのサインを拒否することはできます。そして、拒否しても退職はできます。従業員には退職する自由がありますので、サロン等の側で、サインしない限り退職は認めない、ということはできません。


退職誓約書へのサインは拒否されてしまった、しかし、上記のような事柄を守ってほしいという場合にはどうしたらよいのでしょうか。


1 一つ目は、補償金というような名目で金員を交付し、その代わりにサインしてくれるよう再度依頼する方法があります。これは、退職後のキャリアへの制限を課すことに対する対価のような意味合いになります。この場合でも、強制的にサインを求めることはできませんが、補償があることで、スタッフもサインをしやすくなる効果があります。


2 二つ目は、このような約束は就職時の誓約書に記載しておくことです。退職時はサロン等とスタッフの関係がこじれていることもありますので、退職時に色々な事柄を約束してもらうことはそもそも難しい面があります。したがって、就職時の誓約書に退職後のことまで記載しておき、それを了承した上で就職してもらうようにすべきです。


就職時は全てが円満なので、将来トラブルが生じるとは思えず、この時点で退職後のことまで決めておく必要はないように思うかもしれません。しかし、今の時代、定年まで一つのサロン等だけに勤めるということは決して多くありませんし、円満でお互い冷静に話ができる状態だからこそ、別れた時のことまで決めておくべきです。ちなみに、結婚についても、婚前契約書というものがあり、結婚前に離婚時の財産分与や慰謝料などを決めておくことがあります。


まつげエクステンションサロンの退職時誓約書にサインを拒否したスタッフに関する裁判例について、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。

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