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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

花王が「美白」表現を撤廃


日本でもついにこの動きが起こりました。花王は、人種の多様性に配慮し「美白」「ホワイトニング」などの表記を取りやめることを決定しました。白い肌がベストと伝わるのはよくないという配慮によるものです。

 

花王は化粧品の「美白」の表記を取りやめる。3月に発売したスキンケア商品を手始めに今後、全てのブランドで美白の表現を使わない。米国で起こった黒人差別への抗議運動を受け、外資メーカーが肌の色による優劣を連想させる「ホワイトニング」などの表記を取りやめた。国内勢で初めて花王が肌の色の多様性に配慮することで同様の動きが広がりそうだ。


2021年3月26日 日経新聞

「花王、「美白」表現を撤廃 人種の多様性議論に配慮」より引用


 

欧米では、ブラック・ライブス・マタ―の運動を契機に、昨年の6月頃既に、ユニリーバ、ルなどの大手が、、スキンケア製品から「色白(フェア/フェアネス)」「美白(ホワイト/ホワイトニング)」「明るい(ライト/ライトニング)」といった表現を削除すると発表していました。


この当時に私が書いた記事がありますので、もしよろしければご覧ください。


美白化粧品と人種問題 (2020年7月12日付)


この当時私は、日本人のいう「美白」は、決して白色人種のような肌色になりたいというものではなく、黄色人種であることを前提としたうえで、白く透明感のある肌になりたいというもので、歴史的に見ても、日本では平安時代から白い肌は美しいものとされており、日本人の美白願望はもともと人種差別とは関係のないものなので、日本では美白化粧品は存在し続けてよいのではないか、と書いていました(ただし、肌の色の間にヒエラルキーを生むリスクは指摘していました。)


しかしながら、この後世界中で更に大きくなったブラック・ライブス・マタ―の運動を見ていく中で、私の考えも若干変わりました。運動は欧米だけでなく世界中に広がり、日本を含めたアジア諸国など、欧米ほど人種差別が顕著でない国においても、運動に賛成するデモや抗議活動が行われていました。私は、これを見てハッとして、とても重要なことだと思いました。自分が直接被害を受けているわけではなくても、正しいと思う運動を応援するのは大切なことです。こういう人々、つまり、他の人のために頑張れる人がいることで、世界はよい方に変化していきます。ジェンダーの問題でも同じです。女性やLGBTQの人々が頑張るだけでなく、男性が応援してそれを行動で示してくれることで、はじめて、社会全体のコンセンサスが高まっていくのだと思います。例えば、カナダのトルドー首相は自分がフェミニストであると公言し内閣を男女同数にすることで、カナダのジェンダー平等意識醸に大きく貢献しています。


このように考えると、日本の「美白」にもともと人種差別の意味合いはなかったとしても、人種差別に反対する姿勢を示すために、この表現を撤廃するのは、正しいことだと思います。花王の選択を支持したいと思います。「美白」というのは結局言葉の問題に過ぎません。これを「ブライトニング」に変えたからいって、困る消費者はそうそういないでしょう。カタカナだと少し分かりにくい?でも、それで人種差別をなくすことに貢献できるなら、そちらの方がいいのではないですか。


化粧品は気持ちよく使うことが一番です。私は、政治的に正しい判断をしている化粧品を、気持ちよくポジティブな気持ちで使いたいなと思います。


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