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執筆者の写真Yuko NITTA

ネットショップの未成年者による商品購入



インターネットショッピングサイトなどで、一般消費者向けに化粧品などを販売している事業者の方もいらっしゃると思います。


未成年者による購入は原則取消しができる


インターネットショッピングサイトで商品を購入した者が未成年者であった場合はどうなるのでしょうか。


未成年者(※)が契約を行う場合は、法定代理人(親権者等)の同意を得る必要があります(民法第5条1項)。未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った契約は、一部の場合を除き、未成年者本人や法定代理人が取り消すことができます(同法第5条2項)。一部の場合とは、例えば、未成年が小遣いや仕送りの範囲内で商品を購入した場合です。


契約が取り消されると、未成年側が代金を支払う義務はなくなり、既に代金を支払っている場合は返金を請求できます。未成年が既に商品の引渡しを受けている場合には、返品義務が生じますが、一部使用していても現状のまま返品をすればよいことになります。


したがって、未成年者が商品を購入した後に、親権者から連絡があり、契約の取り消しを要求されるなどということはあり得ます。


※未成年とは20歳未満を指しますが、2022年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられますので、未成年は18歳未満になります。


未成年取消しのリスクを防ぐには


一番確実なのは、法定代理人(親権者等)の同意を得ることですが、インターネットショッピングで法定代理人の同意を確認することは容易ではありません。例えば、美容整形手術などの場合には、親権者の同伴や同意書を要求することがよく行われていますが、ネット上で行われる商品売買の場合にはこのようにはいきません。


~美容整形などの場合の親権者の同意については、過去の記事「未成年の美容整形、親の同意は必要?」をご覧ください~


まずは、 自社のサイトについて、取り扱っている商品は高額か、未成年の利用がどの程度想定されるか、 仮に契約が取り消さ出た場合自社が被る経済的リスクはどの程度か等を踏まえ、未成年取消しリスクが大きいかを判断してみましょう。この検討の結果、未成年取消しリスクが大きいと判断された場合には、サイト上で、申込者の年齢確認や法定代理人の同意確認をするためのステップを設けることとなります。これにはサイト構築費用がかかりますので、繰り返しになりますが、未成年取消しリスクで被るリスクのある損害と、サイト構築費用を天秤にかけ、現実的な必要性を検討する必要があります。逆に、未成年取消しリスクが大きくないと判断された場合には、このために特段のサイト構築はせず、万一未成年取消しの主張をされた場合に、返金すべきなら返金するという対応を取ることになります。


最後に、 経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」では、下記の場合であっても、未成年者による取消しは防げないことが明記されています。


・単に「成年ですか」 との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合

・利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみである場合


したがって、申込者の年齢確認や法定代理人の同意確認をするための特別なステップを設けずに、簡単な画面だけで、取消しのリスクを防ぐということは困難です。

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