自分の使っているアイシャドーの原料が児童労働によって採掘されたものだったら・・・どうでしょう?
マイカ(雲母)という鉱物は、この中に含まれるキラキラした部分が、多くの化粧品に使われています。具体的には、アイシャドー、口紅、チーク、ボディーグリッター、マニュキュア、シャンプー、歯磨き粉などに、パール感、グリッター感を出すために使用されています。
出典:Responsible Mica Initiative
https://responsible-mica-initiative.com/mica
マイカの多くはインド産であり、インドでのマイカの採掘に児童労働が利用されていることが、大きな社会問題になっています。日本ではあまりニュースになっていませんが、欧米ではしばらく前から問題視されています。
例えば、ドイツのニュース番組であるDWでは、5歳の子どもがマイカの採掘をさせられておいること、お母さんと7歳と9歳の娘が一日中マイカ採掘を行い対価は2ユーロ程度であること、マイカを採掘する危険な穴で死んでしまう子供もいることなどが伝えられています。
下記のリンク先に8分くらいのニュースビデオがありますので、興味のある方は見てみてください(ビデオは英語です)。
Work Places-Child labor for makeup
2020年6月20日 DW
フランスのニュース番組であるFrance24でも、女の子が朝7時から夜6時まで危険な場所でマイカの採掘をしている様子が伝えられています(ビデオは英語です)。
The dark side of the cosmetics industry: Child labour use to mine mica in India
2020年1月28日 France 24 English
この問題を解決するためには、インドの政治も変わる必要がありますし、化粧品会社も変わる必要があります。一朝一夕ではどうにもならない複雑な問題です。
ポジティブなニュースとしては、2017年にインド産のマイカを使用している世界中の大手化粧品会社などが集まり、Responsible Mica Initiativeという運動を立上げ、サプライチェーンの透明化などにより、児童労働を2022年までになくすことを目指しています。日本企業としては資生堂がこのメンバーに入っています。
また、別なアプローチとしては、LUSHは、2018年以降天然マイカの使用をやめ合成マイカに切り替えています。理由は、天然マイカのサプライチェーンにラッシュが望むような透明性が得られない、とされています。
ラッシュのマイカについてよくある質問
企業としては、児童労働がなされないようにサプライチェーンの監視を徹底するか、リスクがぬぐえない以上天然マイカの使用をやめるか、色々な選択がありえます。
私達一消費者としては、児童労働が利用されていないマイカを原材料としていることを公表している製品を使う、天然マイカを使用しない製品を使う、少なくとも企業として反児童労働を掲げている会社の製品を使うなど、いわゆる「エシカルコスメ」を見る目を養う必要があると思います。
私は、昔、コーヒーについて、アフリカのコーヒー農園で奴隷のように働かされている労働者の方についてのニュースを見てショックを受け、自分が飲んでいるコーヒーがこういうところから来たコーヒーだったら全然美味しくない、コーヒーを飲むたびに罪悪感を感じたくない、少し高くてもコーヒー農園で働く方に正当な賃金が払われることを応援する方が気持ちがよい、と思うようになり、それ以来フェアトレードのものを選ぶようになりました。
メイクについても、人、環境、社会に与える影響を考えて、賢い消費をしたいと思います。それが、メイクは人をポジティブに幸せにするもの、という本質にも合致しているのではないかと考えます。
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