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執筆者の写真Yuko NITTA

オリパラ組織委員会森会長の不適切発言についてこう思う



公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森会長の女性蔑視発言が問題になっています。美容とは直接関係ありませんが、美容業界は女性の方も多く、気になった方多いと思いますので、私の意見を書きたいと思います。


まず、森会長の発言は非常に不適切です。発言の全文を読みましたが、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる、女性は競争意識が強い、誰か1人が手を挙げると自分もやらなきゃと思いみんな発言する、という発言は、女性に対する偏見で、女性蔑視です。この発言はダイバーシティーを掲げるオリンピック・パラリンピックの精神に大きく反するものであり、会長としての適性に疑問を抱かざるを得ません。私は、この問題は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長という重要な役職に誰を据えるべきなのかという、組織論の問題だと思っています。


インターネットでは、森会長が辞任しないことが批判されているようですが、組織委員会の定款からすれば、ご本人が辞任しなくても、理事会で会長を解任することができます。



(権限)

第31条 理事会は、本定款に定めるもののほか、次の職務を行う。

(1) 当法人の業務執行の決定

(2) 理事の職務の執行の監督

(3) 会長、副会長、専務理事及び常務理事の選定及び解職

(4) その他理事会で決議するものとして法令又は本定款で定められた事項


出典:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会定款

https://gtimg.tokyo2020.org/image/upload/production/dnibzgn6uy1agqu6oynt.pdf


理事会は、委員会の理事により構成される組織で、非常な著名な方々も含め35人の方が理事となっています(2020年10月30日時点)。したがって、今私が最も興味があるのは、この理事の方々が今回の件をどのように考えどのように動かれるのかです。森会長はオリンピック開催に向けて力強く動かれてきた方ですし、開催直前に会長の解任はデメリットもあり得るので、単純に解任すればいいというわけではないとは思いますが、いずれにしても、決定権限のある方々がどのように考えているのかを示していただきたいと思います。このような女性蔑視発言は会長にふさわしくないので解任相当だ、発言は不適切だが森会長の政治的手腕はオリンピック開催に不可欠なので解任はすべきでない、など、どんな意見でもよいので、聞いてみたいと思います。本件は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長という重要な役職に誰を据えるべきなのかという、重要なガバナンスの問題として、組織論の視点で、議論を深めてほしいと思います。日本にありがちな、メディアの熱が冷めればあとはうやむやになっておしまい・・・というのでは、社会全体としての議論が深まらず、結果、日本のジェンダー格差は一向に埋まらないと思います(2019年の日本のジェンダーギャップ指数は153国中121位、G7中最下位)。



最後に、インターネットでは、森会長個人の人格を否定するような書き込みもありますが、私としては、(自分から見ると)非常に不適切な考えを持っている相手であっても、拒絶はしない方がいいと思っています。相手がどういう環境で生きてきたのか、どうしてそういう考えを持つに至ったのか、意見が形成された背景に思いをはせ、家族や友人であれば、直接話し合って、分かりあえる部分があるか探る努力が必要だと思います。相手の意見を変えたいと思う時、頭ごなしに否定したり、怒ったりしても、通常効果はなく、相手はより硬直化するだけです。それよりも、例えば、昔の会議と今の会議とは何が違う?話が長いのは本当に女性だけだった?長くても意味のある話だったことはない?議長のスキルは十分だった?など、色々な角度で話し合うことで、歩み寄れることもあると思います。また、法律の世界には「Agree to disagree」という言葉があります。「同意しないことに同意する」という意味ですが、徹底的に議論し、相手の視点も理解し、ただ結論的には、意見が一致しないことをお互いに認め合うというようなイメージです。Agree to disagreeの場合、結論は不一致でも、議論の過程で、相手に対する一定の理解とリスペクトは生まれるものです。


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