私は、昔から美容やファッションなどが歴史上の絵画でどのように描かれているのかを見るのが好きです。大学時代は美術史を専攻していたので、当時は、19世紀のフランス絵画の中で、毛皮がどのように描かれているかを探る、というようなテーマでレポートを書いたこともありました。例えば、アングルの名作「王座のナポレオン」でナポレオンが身につけているマントの毛皮は何の毛皮で、それが社会的に何を意味し、絵画的にはどう表現されているか、というようなことです。
同じ理由で、銀座にあるポーラ美術館アネックスはよく行く美術館の一つです。ここでは色々な種類の佳い展覧会を行っていますが、たまに美容×アートの面白い展示もあります。
そんなポーラが、今回、化粧、髪型、装いなどに関する浮世絵や化粧道具を、オンラインで一挙公開してくれました。
ポーラ・オルビスグループで化粧に関する研究活動を行うポーラ文化研究所(所在地:東京都品川区)は、 国文学研究資料館(以下、「国文研」)と協力・連携し、ポーラ文化研究所が所蔵する古典籍(江戸時代以前の本) 176 冊と浮世絵 349 点の高精細デジタル化に取り組み、2021 年 4 月 16 日(金)に公開しました。2019 年より両機関 が協力・連携して進めたこの取り組みにより※1、化粧文化に関する大規模な資料群のインターネットを通じた検索・閲覧が『いつでも、どこでも、どなたでも、そして無料で』可能になりました。
2021年4月16日ニュースリリース
「化粧文化に関する資料、高精細画像でオンライン閲覧が可能に ポーラ文化研究所の古典籍 176 冊・浮世絵 349 点を4 月16日に公開」より引用
これらの資料が見られる化粧文化データベースはこれです。
データベースでは、化粧道具や浮世絵の種類が特に豊富です。解説が丁寧で、例えば、浮世絵であれば、遊郭の午後のひと時を描いており、まず髪をとかしこれから化粧をするところ、歯にはお歯黒が見えるなど、説明してくれているので、作品の理解が容易にできます。また、高精細画像で、拡大しても綺麗なので、着物の柄や、ヘアスタイルの細部など、気になるところをよく見ることができるのも嬉しいです。
美容やファッションは昔からありますが、髪型や着物など現代人から見てもきれいだなと思うものもあれば、お歯黒や眉を剃ることのように(江戸時代は、結婚するとお歯黒、子どもを産むと眉を剃り落とすのがスタンダードでした)今とは異なる美意識に基づくものもあるので、色々比べるととても面白いです。
興味がある方は、是非見てみてください。化粧やファッションで美しさを追求し、工夫を凝らし、人生を楽しむ様子は、今も昔も変わらず人々にパワーを与えていることが感じられると思います。
Comments