top of page
  • 執筆者の写真Yuko NITTA

美容業界のプラットフォームビジネス


プラットフォームビジネスとは、楽天市場やAmazonマーケットプレイスのように、商品を売りたい売主と、商品を買いたい買主をつなぐ場所を提供するビジネスです。くらしのマーケットも、エアコン取付などをしてくれる施工業者と消費者をつなぐプラットフォームです。このように、自身で商品を売ったりサービスを提供するのではなく、事業者と消費者が出会う場所を提供するのが、プラットフォームビジネスです。


このようなプラットフォームビジネスは昨今勢いよく増えており、私も相談を受けることが多くなりました。


そして、美容業界にもプラットフォームが誕生してきています。


例えば、Nailie(ネイリー)は、ネイリストとお客様をアプリ上で直接つなぐプラットフォームです。アプリ上で好みのデザインを探してネイリストを直接予約できます。

Nailie(ネイリー)https://nailie.jp/


GO TODAY SHAiR SALONは、フリーランス美容師向けのシェアサロンプラットフォームです。

フリーランスの美容師が登録するコミュニティ型のプラットフォームで、充実した立地と設備のサロンをシェアできるという新しい美容師の働き方を提案しています。また、美容師と顧客をつなぐアプリ「SHAiR」もリリースしています。

GO TODAY SHAiR SALON https://www.gotoday-shaire.salon/


ちなみに、Nailie(ネイリー)もGO TODAY SHAiR SALONも、C2C PTE.LTD.という、プラットフォームアプリの開発を行う会社がアプリ開発を担当しています。C2C PTE.LTD.のウェブサイトを見ると、美容業界に限らず、複数のプラットフォームビジネスが事例として紹介されており、面白いです。

 

では、プラットフォームビジネスをする場合の法律的な注意点は何でしょうか。


これは、たくさんありすぎて書ききれないのですが、今回は、どんなタイプのプラットフォームの場合にも必ず聞かれる、「サロンとお客様との間で予約に関するトラブルになったらプラットフォームはどのような責任を負うの?」「サロンがお客様に販売した商品に不具合があったらプラットフォームはどのような責任を負うの?」について、簡単に解説したいと思います。


結論から言うと、プラットフォームは原則的に責任を負わず、このことはプラットフォームの利用規約にも明記します。

プラットフォームは、自身でサービスを提供したり、物を売るのではなく、あくまで場所の提供をするだけの存在です。サービスの提供や物の売買は、プラットフォームで出会った事業者と消費者の間で直接行われます。したがって、プラットフォームの利用契約には、例えば、以下のような文言を入れます。


「当プラットフォーム上で行われるお客様とサロンの契約は、お客様とサロンとの間で直接成立します。当該契約に基づく権利の行使または義務の履行は、お客様およびサロンが自己の責任と費用の負担において行うものとします。当社は、当該契約に基づく権利の行使または義務の履行に関与するものでなく一切の義務および責任を負いません。当該契約に関する紛争はお客様とサロンの間で解決するものとし、当社は一切これに関 与する責任を負いません。」


ただし、明らかに酷い商品が売買されていたり、詐欺的な取引がされていることをプラットフォームが知りつつ、これを長期間放置したような場合には、いくら上記の文言があっても責任を負う場合があるので、注意してください。


また、実務上は、いくら契約で守られていたとしても、プラットフォーム上でトラブルが頻発するのは、利用者からの信頼性という意味でもよくないので、事業者は、なるべくトラブルにならないよう、様々工夫します。例えば、商品やサービスのクレームの窓口をプラットフォーマーが引受けたり、トラブルが重なった事業者には指導をしたりします。また、場合によっては、プラットフォームが被害を被った消費者に対して一定の金銭的給付をして、その後これを事業者に求償したりすることもあります。


プラットフォームビジネスについては、売買やサービス提供の当事者とは異なる、場所を提供する者としての独特の注意点がありますので、これからも少しづつ紹介していきたいと思います。

bottom of page