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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

新型コロナ対策:施術前の確認書は必要か




最近、サロンへ行くと、新型コロナウイルス感染症対策として、施術の前に「37.5度以上の熱はありません」「過去14日以内に海外へ渡航していません。」等の確認事項の記載された書面に署名を求められることが増えています。


このような書面は何のためにあるのでしょうか、必要なのでしょうか。


まず、前提として、サロンでの施術は、お客様とサロンとの間の契約です。しかしながら、通常、施術の前に契約書を締結することはしません。契約書がないということは、書面で取り決めたルールがないということです(民法や商法などの法律は適用になりますが、これはいわばデフォルトのルールであり、カスタムメイドのルールではありません)。よって、お客様に、こういうことだけは約束してほしい、ということがある場合には、承諾書のような書面にサインしていただき、最低限のルールを書面化しておく必要があるのです。


このような書面を作成する意義は、大きく3つあると考えます。


一つは、サロンが感染対策に真剣に取り組んでいるという姿勢をお客様に示すことです。このような書面があれば、お客様に、このサロンは感染対策をとっているのだな、と安心していただける可能性が高まります。


二つ目は、リスクの高いお客様を排除することです。もし、本当は37.5度以上の熱があったり、過去14日以内に海外へ渡航していた場合、多くの人は、このような書面にはサインしにくいものです。よって、リスクの高い方がサロンで施術を受けることを一定防止することができます。


三つ目は、もしお客様が虚偽の申述をしていた場合、損害賠償請求をできる可能性が高まることです。例えば、サロン内でクラスターが発生し、その原因が虚偽申述をしたお客様だと判明した場合、サロンが被った損害を賠償請求できる可能性があります。なお、原因が特定のお客様だと証拠で立証することは容易ではないでしょうし、損害と虚偽申述の間の因果関係も必要となります。この書面さえあれば無制限に損害賠償請求できるということではないので、この点は誤解のないようにしてください。


それでは、このような書面はあった方がよいのでしょうか。


私個人の見解としては、このような書面は、法律上必須なものではないものの、上記3つのメリットがありますので、あったほうがよいと思います。書面のデメリットとしては、毎回サインするのが手間になりうるということでしょうが、1分もかからずに内容確認の上サインができるものですので、デメリットよりもメリットの方が大きいように思います。


皆様のサロンでも、書面の意義を理解の上、導入の有無をご検討ください。


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