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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

弁護士、税理士などの専門家はどう使い分ければよいか


ご自身で美容に関する事業を始めると、会社であっても個人事業主であっても、弁護士、税理士などの専門家に依頼する機会は増えると思います。しかし「誰に何を依頼すればいいのかわからない。」「専門家をどう使い分ければいいのかわからない。」というお話を聞くこともあるので、今日はこれをまとめてみたいと思います。


弁護士 税理士等の業務範囲は各法律に定められていますが、重複する部分もあるので 、各士業の間では業務範囲の線引きを巡るセンシティブな問題も起こっています 。しかしながら今回はそのような問題は一旦横に置き、美容関係の事業を行う経営者の方がどのように専門家を使い分けたらいいのかについての私の意見を書きたいと思います 。これは私の意見であると同時に、私の美容関係のクライアントの多くがこのようにされているという実例でもあります。こういう事柄については誰に頼む、ということが分かっているだけでも安心して経営ができますので 、頭の整理として読んでいただければ幸いです 。


弁護士:

  • 契約書(商材の仕入先等取引先との契約書、スタッフの雇用契約書、店舗の賃貸借契約書など全ての契約書)の作成・レビュー

  • サロンのお客様から取得する同意書等の作成

  • 就業規則や社内規則の作成

  • 化粧品の説明書やHP上の紹介文が薬機法に反しないかなどの確認

  • 新規事業を行う際のスキームの適法性の確認(例えば、あるビジネススキームが人材派遣にあたるかなど。最近はDX関係の相談も多い。)

  • 株主総会対応(招集通知、シナリオ等の作成や、株主対応のアドバイスなど)

  • 商標権・意匠権侵害の対応

  • M&A対応(アドバイス、DD、必要な契約書の作成等)

  • 紛争解決(お客様・取引先・従業員とのトラブル対応、クレームの窓口になることもある)


司法書士:

  • 会社設立や増資(資本金を増やすこと)などの登記

  • 不動産の売買等の際の登記


税理士:

  • 税務代理(税金の申告や税務調査の立会いなど)

  • 税務書類(確定申告書等)の作成

  • 税務相談(税金に関する質問などに回答)、会計帳簿の記帳代行などの会計業務


公認会計士:

  • 法定監査(ただし上場企業、一定以上の規模の会社のみ)

  • M&Aの際の財務DD


弁理士:

  • 商標、意匠、特許等の出願代理

  • 知的財産戦略に関するアドバイス


社会保険労務士:

  • 労働社会保険の手続き

  • 助成金の申請

  • 労働者名簿・賃金台帳等の調製

  • 36協定等の労使協定の作成


行政書士:

  • 美容所登録の手続代理

  • 化粧品製造業許可等の各種許認可の申請

  • 助成金の申請

  • 外国人を採用する場合の在留資格申請


改めてまとめてみると、かなり色々な種類の専門家がいますね。ちなみに、アメリカをはじめとする諸外国では、税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士という資格はなく、全て弁護士が行っています。日本の弁理士の業務や税理士の業務も一定以上の割合が弁護士によって行われています。私も、アメリカ、シンガポール、香港にいたときに、日本では登記は司法書士という別の専門家が対応するのだということを説明し、不思議がられたことが何度もあります。日本では、弁護士の資格を取ると、弁理士、税理士、社会保険労務士、行政書士の資格も登録さえすれば取れるのですが、登録してこれらの業務を実際に行う弁護士は多くなく、これらの業務はそれぞれの専門家に任せ、弁護士は弁護士独自の業務を行っています。


おすすめの方法は、いきなり全ての専門家の知り合いを作る必要はないので、弁護士と税理士など、依頼する頻度の高い専門家は見つけておき、他の専門家に頼む必要が出たら、その弁護士か税理士に、誰かを紹介してもらうことです。私も、クライアントから相談を受け、それは登記の問題なので司法書士を紹介しますね、などと他の専門家を紹介することはよくあります。


一番よくないのは、誰に頼めばいいのか分からないまま、小火が山火事になったり、不適切な処理をしてしまったり、ストレスを抱えてしまうことなので、そうならないように、餅は餅屋に任せ、自分は経営に専念できる体制を作っておいてください。



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