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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

化粧品の共同開発を上手く進めるためには



化粧品や美容雑貨などを、他の会社、大学、研究機関などと共同開発することがあると思います。共同開発はトラブルが起きやすい類型で、開発途中で秘密を漏らされてしまった、開発した製品の権利をとられてしまったなど、いろいろな相談を受けます。このようなトラブルを防ぐためには、共同開発を始める前に、ルールをきちんと決めて、共同研究開発契約書を締結すべきです。今回は共同研究開発契約書について解説します。


共同研究開発契約書で決めるべきことは以下のようなことです。


1 役割分担

誰が何の作業をするのか具体的に決める必要があります。これを曖昧にすると、双方が、これは自分の仕事ではない、と言う事態になってしまい、思うように共同開発が進まないリスクが生じます。


2 費用分担

研究開発には費用がかかるものです。これをどう分担するのか決める必要があります。これとこれの費用は誰が負担というように決めることもあります。もしくは、一方当事者は資金を提供し、他方当事者は労力を提供するという形の共同開発であれば、一方当事者が他方当事者に費用を支払うと決めることもあります。お金の事で揉めると共同開発がうまく進みませんので注意しましょう。


3 共同開発の進め方

誰がいつまでに何をして、どのように報告をするのか、ミーティングはどこでどのように行うのか等を決めます。この中でも特に期限と報告をきちんと決めることがスムーズな共同開発のために大切です。


4 秘密保持

共同開発の過程で他方当事者に提供した情報は秘密として保持してもらう必要があります。また、共同開発の目的以外には使用しないことも義務付ける必要があります。秘密保持については、書くべき条項が色々あるので、共同研究開発契約書とは別に、秘密保持契約書を締結することも多いです。


5 競業避止

共同開発をしている間及び共同開発が終了してから一定の期間は、全く同じもしくは類似する共同開発をほかの第三者と行わないように義務づける必要があります。例えば、相手とサプリの共同開発をしている場合、相手が他の第三者と同じようなサプリの共同開発をしてしまうと困るので、このようなルールを作ります。実際には「同じようなサプリ」とは何を意味するのかで議論になることも多く、サプリなら一律だめなのか、ダイエット目的のサプリだけダメにするのか、細かく話し合います。


6 研究成果の帰属

これが最も重要な条項と言っても過言でないと思います。例えば、共同でサプリを開発した場合、そのサプリの権利(知的財産権や所有権)は誰のものとなるのかを決めます。一方当事者に帰属するとすることもありますし、共有とすることもあります。これは、今後このサプリを誰がどう市場で販売するかということにも関わるので、重要です。例えば、サプリの権利は一方当事者の帰属とし、同社が市場でサプリを販売し、他方当事者はロイヤルティをもらう形としたりします。これをきちんと決めないと、何のために今まで時間と労力を費やしたのか・・・ということになりかねません。たまにこれを口約束ベースだけで合意して、相手を信頼しているから大丈夫とおっしゃる方がいますが、書面できちんと契約しましょう。


共同研究開発契約は比較的複雑な契約で、雛形で済むようなものではありません。よって、この記事で概要をつかんでいただき、実際に進める際には、専門家に相談していただくことがおすすめです。

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