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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

代理店契約と販売店契約の違い


自社の化粧品や商材を市場で幅広く販売したい場合、もちろん自社で販売してもいいのですが、第三者に販売促進を依頼することがよくあります。このときに締結される契約の多くは、「販売店契約」または「代理店契約」です。


「代理店契約書の作成をお願いします。」と言われても、よくよくお話を聞くと、実際にご希望されているのは、「販売店契約書」であることがよくあります。


今回はこの2つのの違いについて説明したいと思います。


例えば、自社の化粧品をA社に1個1500円で販売した上で、A社に対しその化粧品の再販売権を与え、A社が市場でその化粧品を1個2500円でX社に対し販売するという場合、これは「販売店契約」です。A社は、化粧品を買い取り在庫を持った上で、独自の販売網で化粧品を販売します。A社の利益は、2500円から1000円を引いた1000円となります。


他方、例えば、自社が自社のエージェントとしてA社をおき、A社がX社という購入先を開拓してきて、A社が自社とX社の契約の仲立ちを行うという場合、これは「代理店契約」です。A社は自分が化粧品の売主になることはありません。ビジネスモデルとしてはあくまでもフィービジネスで、自社からもらう手数料がA社の利益になります。


世間では「販売代理店」という言葉がよく使われますが、これは、内容的には、販売店契約の場合も代理店契約の場合もあります。販売代理店という言葉を使うこと自体は構わないのですが、自社が想定しているスキームはどちらなのか、はっきり認識できると、注意すべきポイントもよく分かってきます。

 

以下では、販売店契約と代理店契約について、ビジネスを始める前に検討しておくべきポイントを簡単にまとめます。美容業界の取引でもよく問題となるものばかりで、私もよくこれらのことをクライアントと相談し、アドバイスをさせていただいています。


1.共通

(1)独占権を与えるか否か

   一定の地域や商品について独占権を与えるか否かです。

(2)商標の使用に関するルール

   販売促進では商標を利用するので、使用方法に関するルールを決めます。

(3)広告宣伝に関するルール

   広告宣伝マテリアルについて事前承認制にするなどのルールを決めます。

(4)費用負担

   販売店や代理店が負担するか、援助費用を支出するかなどです。

(5)競業避止

   他社の同一・類似商品の取り扱いを禁止するかです。

(6)報告書

   販売促進活動や販売見込みに関するレポートを出してもらったりします。  

(7)契約終了後の対応

   商標の利用停止、販売店の場合は在庫の処理方法等を決めます。

   


2.販売店契約

(1)最低購入量

   独占権を与える場合には決めることが多いです。

(2)再販売価格のコントロールはできない

   独占禁止法上、再販売価格を指示することはできません。

(3)再販売先の管理

   優良な販売先以外は販売できないように指示できるようにすることがあります。


3.代理店契約

(1)業務の範囲

   売買契約の締結だけでなく代金回収まで行うかなどです。

(2)売買契約締結の際の報告

   代理して販売した場合、本人にいつまでに何を報告するかです。

(3)手数料発生の条件

   手数料がいつ発生するか、返品となった場合に手数料も返還するかなどです。

(4)手数料の支払い方法

   会社が代理店に支払うか、回収した代金から差し引くかなどです。


販売店または代理店ビジネスを行う場合には、これらのことを一つずつ検討しながら、契約書を作成します。販売店または代理店ビジネスを行う場合の参考になれば幸いです。


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