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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

ネイルデザインの真似は著作権侵害になるか


お客様がインスタなどにアップされているネイルデザインを持ってきて、同じデザインを希望されることがあります。この時に「真似してしまって大丈夫なのかな?」と心配されるネイリストさんもいると思います。ネイルのデザインを真似することは法律違反になのでしょうか。


ここで関係する法律は著作権法です。著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と定義されています(著作権法第2条1項1号)。


ネイルの場合問題になるのは、ネイルのデザインに「創作性」があるといえるかです。アイディアの平凡・凡庸な表現については創作性があるとは言えません。例えば、ネイルにクロスのラインを描く、フレンチネイルのラインをラメで描くなどは、デザインであっても、著作権法上の創作性の要件は満たさないといえます。花柄のようなものであっても、フラワーネイルとしてよく見るようなものは創作性は認められないと考えます。


ネイルデザインで創作性が認められるものがあるのか、あるとしたらどういう場合に認められるのか、については、判例もなく、難しい問題です。私個人の考えとしては、ネイルデザインに創作性が認められる余地は皆無ではないものの、 美的鑑賞の対象となる美的特性を備えているよほど特殊なデザインでないと、創作性は認められにくいように思います。


関連する裁判例として、ファッションショー事件(知財高裁平成26年8月28日判決)というものがあります。本件では、個々のモデルに施された化粧や髪型のスタイリングについて、「それ全体が美的鑑賞を目的とするものではなく、また、実用目的のための構成と分離して 美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えた部分を把握できるものでもない」 として、美術の著作物には該当しないとしました。これは、ネイルデザインについての判断ではありませんが、ファッションショーの化粧や髪型ですら著作権として保護されないとすると、一般的なネイルデザインが著作権として保護されるのは容易ではないと考えます。


最後に、キャラクター(例えばハローキティ)や、ブランドロゴ(例えばシャネルのCCマーク)を使用したデザインを、ネイルサロンでのお客様に提供するのは、著作権又は商標権の侵害となりますので、許されません。大企業においては、著作権や商標権の侵害の調査をする部署があり、例えば、ネイルサロンがこのようなデザインを施しインスタにアップしていないかを監視し、発見した場合には損害賠償請求をする旨の警告書を送付するような運用をしていますので、気を付けましょう。


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