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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

CBD製品は適法?違法?あいまいな理解を整理します



最近CBDの人気がありますね。私は使ったことがないのですが、CBDオイルがとてもよいということを周りから聞くことは増えました。CBDとは、大麻草に含まれるカンナビジオールといわれる天然成分の略称で、ストレスの緩和や不安の軽減などによいとされています。CBDは大麻由来の成分ですので「違法でないの?」と聞かれることも多いのですが、「CBD=必ず違法」ではありません。だからといって、「CBD=必ず適法」でもありません。歯切れが悪く申し訳ないのですが、適法か違法かは製品によります。ただし、私は、現状、日本で流通している大麻草から作られているCBD製品については、「適法だ」と確信を得て取引することはなかなか難しいと考えています。

以下、説明します。


 

違法な大麻にあたるCBD製品は何か


大麻取締法では、大麻の栽培と輸入は7年以下の懲役(営利目的の場合は懲役10年以下+300万円以下の罰金)、大麻の所持と譲渡・譲受は5年以下の懲役(営利目的の場合は懲役7年以下+200万円以下の罰金)となります。


そして、「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」とされています(大麻取締法第1条)。


したがって、大麻草の成熟した茎又は種子以外の部位(葉、花穂、枝、根等)から抽出・製造され た CBD 製品は、「大麻」に該当します。よって、これを輸入すること、得ること、買うこと、所持することは全て違法で、上記の罰則の対象になります。


また、大麻草から抽出・製造されたかを問わず、大麻草由来の成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有する CBD 製品は、違法な大麻に該当しないことが確認できないので、違法のおそれがあります。大麻取締法にTHCが含有していると「大麻」にあたる、と明記されているわけではないのですが、THCは、通常大麻草の花や葉から抽出される成分で、大麻草の熟成した茎又は大麻草の種子からは検出されないので、THCが含まれている=違法な大麻の恐れあり、と解釈されています。


実際、厚生労働省は、THC成分が検出されたCBD製品について、発表し、「大麻取締法上の「大麻」に該当する疑いがある製品であることから、お手元に残っている場合には、最寄りの地方厚生局麻薬取締部、都道府県衛生主管部(局)薬務主管課または保健所宛てにご提出いただきますようお願いいたします。」と警鐘をならしています。


エレクシノール株式会社の件


株式会社こころの件


 

CBD製品を輸入したい場合にはどうしたらよいか


それでは、CBD製品を輸入したいという場合はどうしたらいいのでしょうか?


この場合、まず、CBD製品を輸入する場合は、厚生労働省に輸入可能かを確認しましょう。厚生労働省では、CBD製品の大麻非該当性を確認しており、「CBDオイル等のCBD製品の輸入を検討されている方へ」という通知が出ていますので、これに沿って、①「大麻草の成熟した茎又は種子から抽出・製造された CBD 製品であること」を証明する内容の文書、②成分分析書、③CBD の原材料及び製造工程の写真などを提出し、確認をしてもらいましょう。


ただし、厚生労働省が「大麻に該当しない」と回答した場合であっても、これは「適法」のお墨付きをあたえるものではありません。国内の抜き打ち検査などで THCが検出された場合等には、「大麻に該当する」ものを輸入したものとして大麻取締法に基づき処罰を受ける可能性があります。上記の2社のケースも、輸入はできたが、その後の検査でTHCが検出されたというケースであると思われ、後からこのような問題になることもあります。


ここが難しいのですが、自分は輸入者という立場である以上、海外生産者が「本当に」大麻草の成熟した茎又は種子からのみ製品を製造しているかを確認することは難しいと思います。いくら成熟した茎又は種子しか使用していない旨の証明書を出してもらったとしても、虚偽の可能性もありますし、写真を出してもらったとしても、365日24時間監視しているわけではない以上、本当のところは分かりません。THC成分の有無についても、検出機械の精度の違いなどで、外国と日本で別の結果が出ることもあると思います。自社が100%管理するオリジナルの農園などの場合には比較的信頼できるかもしれませんが、これを達成するためには事前にかなりの設備投資が必要になります。


なお、輸出者との間の契約で、万一このCBD製品が違法な大麻に当たることが判明した場合には、それにより被った損害を賠償してもらうよう規定することは、助けにはなります。もっとも、損害賠償を求めて国政訴訟・仲裁等を行うのには大きなコストがかかりますので、実効性には疑問もあります。またそもそも、大麻取締法違反は刑事罰があり、輸出者が自分の代わりに刑事罰を受けてくれることはないので、刑事責任に関しては自分だけがリスクを取ることになります。


このような現実的な事情を考えると、CBD製品を輸入するのにはやはり一定のリスクがあると言わざるを得ません。弁護士として、適法です、安全です、と言い切れるケースは、現状、かなり少ないと感じています。輸入する方はこのあたりのことを理解した上で、ご自身

の判断と責任で行っていただくことになります。



 

他社が輸入したCBD製品を販売したい、購入したい、サロンで使いたい、という場合にはどうしたらよいか


この場合でも、輸入できているのだから適法だろうと安易に考えるのではなく、違法大麻に該当するリスクがあることを理解の上、ご自身の判断と責任で行っていただくことになります。


なるべくリスクを軽減する方法としては、まず、①「大麻草の成熟した茎又は種子から抽出・製造された CBD 製品であること」を証明する内容の文書、②成分分析書、③CBDの原材料及び製造工程の写真などの提出を受け、自分の目でも確認することは必須でしょう。更に、独自にTHCが検出されないかの検査を行えればベターです。加えて、契約書で、万一このCBD製品が違法な大麻に当たることが判明した場合には、それにより被った損害を賠償してもらうよう規定することなどもよいとは思います。ただし、これをすべて実践したとしても、自信をもって大丈夫といえるレベルではないと思います。結局、自分で製造したものでない以上、本当に違法大麻にあたらないのかは確信が持てないものです。また、刑事責任のリスクは自分しか取れないことは上述のとおりです。



 

以上、CBD製品の適法性について整理しました。私はCBD製品の市場での可能性は大いにあるのではないかと思っていますが、法律的にはなかなか難しい面があります。本記事が皆様のリスク判断の参考になれば幸いです。


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