美容クリニックのHPによくあるビフォーアフターの写真広告、インターネットを見ると、これはよいとか悪いとか、色々な情報があり混乱しているように思います。
結論からいうと、ビフォーアフター写真広告は一定の条件を満たせばOKです。何が一定の条件かに付いては、後述します。
まず、医療クリニックの広告というのは、何でも自由にできるわけではありません。これが、ネイルサロンなどの美容サロンであれば、基本的に自由に広告できるのですが、クリニックは医療を提供する規制業種ですので、広告についても厳しいルールがあります。具体的には、医療法、医療法施行規則、更には2018年に制定された「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針医療広告ガイドライン)」というものがあり、これらに沿った広告をする必要があります。
それでは、これらのルールで、ビフォーアフター広告がどのように取り扱われているか、見てみましょう。
治療等の内容又は効果について「患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告をしてはならないこと」と、ビフォーアフター写真による広告は原則として禁止されています(医療法施行規則第1条の9第2項)。
しかしながら、以下の要件を満たした場合には、ビフォーアフター写真広告も許容されることになっています。
要件1(上記ガイドライン第3、1(6)):
治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付した場合
要件2(医療法施行規則第1条の9の2):
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
要件2の①~④については限定解除要件と呼ばれています。これは、医療法上、原則として、法律が広告OKと定めた事項以外は広告してはならないのですが、①~④の要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除し、法律でOKとされている以外の事項も広告してよいことになっているので、限定解除要件と呼ばれています。
最後に、上記要件1、2を満たしていたとしても、以下のような広告はできません。これは、誰から見ても当たり前といえる事柄だと思います。
あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等(虚偽広告に該当)
撮影条件や被写体の状態を変えるなどして撮影した術前術後の写真等をウェブサイトに掲 載し、その効果又は有効性を強調すること(誇大広告に該当)
以上まとめると、ビフォーアフターの写真は、治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な説明を付して、更に限定解除要件(上述の①~④)も満たせば、広告として利用可能です。皆様のクリニックのウェブサイトでも、このとおりできているか、確認してみてください。
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