たまにクライアントからこのような質問を受けることがあります。
口約束しただけですが、契約として有効ですか?
メールでのやりとりしかありませんが、相手が約束を破ったら約束を守るよう請求できますか?
今回は、意外と知らない契約の基本についてお話します。
口約束でも契約か
結論からいうと、口約束のみでも契約は成立します。日本の法律上、契約は申込と承諾の意思表示の合致により成立します。例えば、お客様の「ジェルネイルハンドワンカラー4500円で施術してください」という申込に対し、サロンが「そのように施術します」と承諾すれば、ジェルネイルの施術契約が成立します。実際、ネイルの施術で契約書という書面を作成することは通常ありませんが、この場合でもきちんと契約は成立しています。契約が成立している以上、万一お客様が料金を支払ってくれなければ、訴えを起こして支払いを求めることもできます。たまに、契約書など何らかの書面がないと契約にならないと思っていらっしゃる方がいますが、これは間違いです。
それではなぜ、契約書を作らなければいけないとよく言うのでしょうか。これは、一言でいうと、契約書がないと、約束した証拠が残らないので、揉めごとが生じた際に不利になるからです。ジェルネイルの施術契約であれば、その場で代金を回収できるので、少なくとも代金回収ができないことはないはずで、契約書を作らなくてもサロンに不利になることは基本的にありません(コンビニでアイスクリームを買うのにわざわざ契約書を作らないのと似ています)。しかし、物は今渡して代金は来月払ってもらうような売買契約であれば、代金が支払われないリスクもあるので、やはり契約書は必要です。
メールだけでも相手への拘束力はあるか
結論から言うと、相手への拘束力はあります。日本の法律上、契約は申込と承諾の意思表示の合致により成立するので、メールで意思表示が合致した場合でも、契約は有効です。契約が有効だということは、当事者はそれを守らなければいけないということです。口約束でも契約なのですから、メールでも契約だというのは、納得がいくと思います。メールの場合には、メールが証拠となるので、口約束よりは安心です。しかしながら、メールの表現というのは、曖昧なこともありますし、本当にその人が送ったメールなのか、ということが問題になることもあるので、やはり、重要な契約は、署名捺印がある契約書を作るべきです。
また、メールを軽く捉えてしまい、自分に不利になることや、本当は約束したくないことを、リップサービス的にメールに書いてしまう方がいますが、これも契約になってしまいますので、気を付けましょう。
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