• Yuko NITTA

サロン等に対する誹謗中傷の削除請求




社会ではネット上の誹謗中傷が問題となっていますが、美容業界も他人ごとではありません。美容サロンや美容クリニックについて、グーグルマップ上のコメント等に、事実と異なる誹謗中傷が書き込まれることは残念ながらよくあります。私も弁護士として美容クリニック等を代理して削除請求を行うことがありますので、今日はこれについてお話します。


ネット上の誹謗中傷を削除するためには、裁判所において、グーグルなどを相手に、投稿記事削除仮処分という申立てをします(なお、グーグルなどに任意の削除を依頼する方法もありますが、応じてくれないことが多いです)。仮処分というのは、裁判の一種ですが、緊急性の高い案件について仮の処分(この場合は投稿記事の削除)を認めるスピーディーな手続きです。投稿記事削除の仮処分が認められるためには、投稿記事の内容が名誉棄損に該当する必要があります。名誉棄損というのは実は難しい概念で、全ての誹謗中傷が名誉棄損に当たるわけではありません。名誉棄損に該当するための要件は色々あるのですが、美容サロンや美容クリニックに対するネット上の口コミに関する案件で、最も問題になりやすいポイントは、①事実を摘示しているか②真実に反するか、です。


まず①について、名誉毀損が成立するためには、「公然と事実を摘示」することが要件となります。したがって、「施術が下手」「サロンの対応が悪い」などの評価はこれに該当しません。「ファイリングの際に指まで削られて出血した」「まつげエクステンションの施術中に顔を手で押さえつけられた」などの事実が摘示されている必要があります。


次に②について、摘示された事実が真実である場合は名誉毀損は成立しませんので、真実でないことの証拠を一定提出する必要があります。やってないことを立証するのは難しいのですが、私が過去に取り扱った案件では、施術の方法を記したテキストを証拠として提出し、口コミに記載してあるような乱暴な施術をするはずがないことを立証し、裁判所に認めてもらったことがあります。


削除の仮処分は、ケースにもよりますが、申立ててから3週間~3ヶ月程度で認められます。弁護士費用は弁護士にもよりますが、数十万円程度ではないでしょうか。例えばグーグルを相手とする場合には、アメリカの会社なので、アメリカから登記簿を取り付ける、訴状を英訳する等の作業が必要になり、これについての実費もかかります。


全体として一定の費用と手間のかかる手続ですが、誹謗中傷の口コミのため売り上げが低下しているような場合には、長期的に見ると仮処分を申し立てる価値は十分あると思います。まずは、法的に削除が認められそうか否か、弁護士に相談してみてください。