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  • 執筆者の写真Yuko NITTA

お客様の仕上がり写真をインスタに載せるときは「肖像権」に注意


美容室やまつげエクステンションサロンでお客様の仕上がりの写真をとってインスタグラムなどに載せる場合、肖像権が問題になることがあります。


肖像権とは、自己の肖像をみだりに利用されない権利をいいます。肖像とは社会通念上特定人であることを認識しうる人の容ぼうや姿態です。


お客様など他人の肖像を承諾なく撮影し、これをインスタグラムなどに公表することは、原則として、肖像権の侵害となります。実際に、SNSに載せたことについてお客様からクレームがきた、掲載を取り下げるよう要求された、対価の支払いを求められた、などのトラブルが発生することがあります。


侵害にならないためには、写真を撮影しインスタグラムに載せることについて、お客様の承諾を取る必要があります。


肖像権侵害とは 他人の肖像をみだりに利用することです。「みだりに」とは 承諾を得ずにという意味ですので、逆に承諾があれば肖像権侵害にはなりません 。承諾したかどうかは後から争われることがありますので 、口頭で「写真を撮ってインスタグラムに載せてもいいですか?」と確認するだけではなく 「肖像権使用許可確認書」などの書面にサインをしていただくべきです。この書面では、写真撮影とインスタグラム等への投稿の承諾に加え、これに対し対価を求めないことなども記載すべきです。このような承諾書は仰々しすぎる・・・という場合には、「施術後に目の部分のみの写真を撮影しこれをサロンのインスタグラムアカウントに掲載することに同意します。」などと書いてある紙にチェックをしてもらうなどという形でもよいと思います。いずれにしても、承諾したことが証拠に残っていることが大事です。


ところで、髪型を後ろから撮影した写真や目の部分だけの写真でも、承諾がないと、肖像権の侵害になるのでしょうか?


これについては 、確立した判例はありません。一般的には、誰の肖像であるか特定できない場合には肖像権侵害とならないという説が有力です。髪型を後ろから撮影した写真や目の部分だけの写真では、通常、誰の肖像であるかは特定できませんので、私はこの場合は原則的には、肖像権の侵害にはならないと考えています。もっとも 、美容室やサロンにとって重要なのは、グレーゾーンで争いになって裁判で勝訴することではなく、お客様との信頼関係を築くこと、お客様からのクレームを防ぐことなので、この場合でも、慎重を期して、承諾書はいただくべきだと考えます。


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