• Yuko NITTA

HIFU施術は医行為と解釈すべき


HIFUはリフトアップ治療の一つとして人気を博しています。HIFU施術とは、HIFU機器を使用して、高密度の超音波エネルギーを照射することで、肌や皮下組織を熱凝固させ、つまり肌にダメージを与えることにより、肌が本来持つ再生機能を引き出し、肌の弾力アップやたるみの解消を促すというものです。


美容サロンでHIFU機器を導入したいというご相談を受けることもあるのですが、HIFU施術は医行為(医師法第17条)に該当すると考えますので、美容サロン等でHIFU施術をすることは、医師法違反となり得ます。


医師法第17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と定めています。そして、ここにいう「医業」とは、「医行為」反復継続する意思をもって行うことであると解釈されています。「医行為」の意義については、解釈の対立がありましたが、いわゆるタトゥー施術に関する医師法違反事件最高裁決定(令和2年9月16日決定)において、①医療及び保健指導に属する行為のうち、②医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいう、と判断されました。


そこで、この①②はHIFU施術に当たるか検討してみましょう。


まず、②についてですが、HIFU機器は、人体の表面を傷つけずに、超音波を体内の特定部位に集中させることで加熱し、熱変性を生じさせることができることから、HIFU施術は、②医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為に該当すると考えます。人体の表面を傷つけないから、人体に危害を及ぼさないと考えてしまう方がいらっしゃいますが、人体の表面を傷つけなくとも、人体に危害を及ぼすことは十分にあり得ます。②については、国民生活センター等が、これまでも一貫してこのように解釈していたところであり、法律専門家の中でもほとんど異論はないのではないかと思います。


次に、①についてですが、これは、上記令和2年9月16日の最高裁決定で新たに確認された要件なので、HIFU施術がこれに該当するかという議論はまだほとんどされていません。よって、これはあくまで私の個人的な見解になりますが、私はHIFU施術は①にあたると考えています。HIFU施術は、美容皮膚科等の医療機関において施術メニューの一つとして多く実施されているものであり、国民生活センターや消費者庁もエステサロン等ではなく医療機関で施術を受けるよう注意喚起を行ってきました。また、一般社団法人日本エステティック振興協議会も、HIFU施術を医師資格のないエステティシャンが行うことを禁止しています。このような社会の実情からすれば、HIFU施術は、医療及び保健指導に属する行為と考えることが社会通念に合致します。入れ墨のように、社会的風俗として長年医師免許を有しない彫り師が行ってきた行為とは大きく異なると言わざるを得ません。


以上のとおり、私はHIFU施術は医行為に該当し、医師の資格なくこれを行うことは違法であると考えています。


最後に関連する事柄をもう一つだけ。外国から日本未承認のHIFU機器を輸入し、エステサロンに販売する等の行為も違法です。薬機法上、日本国内にて承認や認証を得ていない医療機器は販売を目的として日本国内で輸入されてはなりません。また、未承認の医療機器は販売し、貸与し、授与し、若しくは販売、貸与若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列し、又は医療機器プログラムにあつては電気通信回線を通じて提供してはならなりません(薬機法第65条)。したがって、外国から日本未承認のHIFU機器を輸入し、エステサロンに販売する等の行為は、薬機法違反となり得ます。実際に、2015年2月には、HIFU機器をエステサロン等に販売した卸売会社社長ら6人が薬事法(現在の薬機法)違反の疑いで逮捕されたという報道がありました。


HIFU施術、HIFU機器の輸入販売は両方とも違法の可能性が極めて高いので気を付けましょう。