• Yuko NITTA

スタッフの秘密情報漏洩を防ぐには



秘密漏えいの原因の最大は退職者の持出しという記事がありました。

 

情報処理推進機構(IPA)が18日発表した企業の営業秘密の管理に関する調査によると、秘密漏えいの原因は退職者による持ち出しが36.3%で最多だった。過去5年以内に漏えいがあったと回答したのは全体の5.2%で5年前の調査(9.6%)より減少した。


2021年3月19日 日経新聞

「退職者の持ち出し36% 企業への調査、秘密漏えいで最多」より引用

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO70127330Z10C21A3CE0000/

 

美容サロン等においても、退職者の秘密情報の持出しはよく問題になります。


これを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。具体的には、以下の3つが考えられます。


1 退職時に秘密保持を誓約させる


退職時に秘密情報については、貴社を退職した後においても、第三者に開示、漏洩又は使用しないことを誓約いたします。」などという内容の誓約書を提出させることにより、退職後の秘密情報漏洩を防止することができます。なお、労働者の職業選択や営業の自由を不当に妨げないように、「秘密」の対象は限定的に明確化しておくことが望ましいといえます。秘密保持義務に違反していることが分かった場合には、損害賠償ができます。また、不正競争防止法上の営業秘密侵害行為に該当する場合には、差し止め請求(例えば、当該営業秘密を利用して行っているサロン活動を止めるよう請求)できます。


不正競争防止法上の「営業秘密」とは、①秘密管理性、②有用性、③非公知性を満たす秘密のことです。裁判例上では、まつげエクステンションサロンの事例で、施術履歴が、従業員であればだれでも閲覧可能で、従業員間で、LINEで画像を共有する取扱いが日常的に行われていたことから、秘密情報には当たらないと判断されたものがあります(令和元年8月7日知的財産高等裁判所判決)。


2 採用時に秘密保持誓約書を提出させる


退職時の秘密保持誓約書は、関係がこじれていると提出してもらえないことがあります。よって、関係が円満な入社時に「媒体及び手段を問わず、貴社から開示又は提供された一切の情報を、在職中及び退職後においても第三者に開示又は漏洩しません。また、退職に際して貴社から開示又は提供された一切の情報を破棄、削除又は返還します。」などという内容の秘密保持誓約書を提出してもらうべきです。入社時のものですが、退職後のことまで規定しておくことがポイントになります。万一、スタッフが提出拒否した場合に採用内定を取り消せるか否かは難しいところです。判例上、内定取り消しには社会通念上相当と認められる理由が必要です。美容サロンの場合には、競業等の可能性が高いこと、顧客情報など情報管理の必要性が高いことを強く主張すれば、一切不可能ではないと考えます。


3 就業規則に記載する


就業規則にも会社内外を問わず、在職中又は退職後においても、会社、取引先等の秘密、機密性のある情報、顧客情報、企画案、ノウハウ、データ、ID、パスワード及び会社の不利益となる事項を第三者に開示、漏洩、提供又は不正に使用しないこと。」などと記載しておくべきです。従業員がこれに違反した場合には、懲戒処分ができることになります。


秘密情報の漏えいは美容サロン等でもよく問題になる事柄ですので、対策を学んで、事故の防止をしましょう。