top of page
執筆者の写真Yuko NITTA

スタイル写真を撮ったスタッフがサロンを辞めたらどうなるか



美容室のヘアスタイル写真、ネイルサロンのネイルデザイン写真、まつげエクステンションサロンのまつげデザイン写真、これらの写真を撮ったスタッフがサロンを辞めた場合、サロンは引き続きこれらの写真を使ってよいのでしょうかこれらの写真はサロンにとって重要な財産ですので、使えないことになると非常に困ると思います 。


結論から先に言うと、原則としてサロンは写真を使い続けることができます


写真には著作権が認められます。そして、個人で写真を撮影する場合には、撮影を行った人が著作権者であり、撮影した写真について著作権を有することになります。よって、原則的には、写真を撮影したスタッフが著作権を有することになります 。


しかしながら、著作権法には職務著作という重要な例外があります。条文は下記のとおりですが、①著作物の作成が法人等の発意に基づき、②法人の業務に従事する者が職務上作成した著作物で、③当該著作物が法人の著作名義のもとに公表されるものであるときは、著作者は法人等になります。美容室のヘアスタイル写真、ネイルサロンのネイルデザイン写真、まつげエクステンションサロンのまつげデザイン写真の場合には、通常①~③の要件を満たしますので、職務著作に該当し、サロンが写真の著作権を有することになります。したがって、写真を撮影したスタッフが退職した後であっても、サロンはこれらの写真を使い続けることができます。


(職務上作成する著作物の著作者)

第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。


ただし、サロンとスタッフの間で、写真の著作権はスタッフに帰属するという特別の契約をしている場合は、写真の著作権はスタッフに帰属することになります。これまで、サロンがこのような契約をすることはまれだったと思います。しかし、スタッフもSNS等で個人の顧客を獲得したりする時代になっており、このような契約をスタッフから要求されるケースも増える可能性があります。


最後に、写真の著作権はモデルにあると勘違いしてしまうことがあるのですが、モデルに著作権はありません。著作権が問題になるのはあくまでも写真を撮ったスタッフとの間になります。ただし、モデルには「肖像権」という別の権利が生じる可能性があります。肖像権については 「お客様の仕上がり写真をインスタに載せるときは「肖像権」に注意」で解説していますので、こちらもご覧ください。

Comments


bottom of page